《伝え合いの保育》
 心ある保育者は子ども達を笛で動かすことを嫌います。
昔は幼稚園や小学校の先生は必ずといっていい程ペンダントのように笛をぶらさげていましたが、徐々にそのような旧態依然のスタイルは流行遅れになってきています。
 当園でも、笛や音楽で子どもを動かせていくのではなく言葉や態度で伝え合っていく方向に保育を改めてきました。
 遊んだ後のお片付けなども「そろそろ片付けようか」と保育者が子ども達に言えば子ども達同士で伝え合っていってくれます。もっとも「もうちょっとだけ遊びたいー」という反論も出てくる事がありますが、そうなってくると話しあって考えていかなければなりません。
マイクを使って大きな声で「片付けるよー」と叫んだら片付けるのも短時間で済み、また効率よくなるでしょう。でもこのようなやり方は普段の保育には厳禁です。
なぜならこの様に保育者が一方的な命令口調で話すことに慣れてしまうと、保育者と子どもは上下の関係になってしまいます。
 子ども達が考え納得して動くチャンスを奪ってしまう恐れがあります。
 もう1つ避けていきたいのは貼り紙保育です。
「トイレのぞうりはきちんとならべましょう」などと書いて貼ってあるのを見かけますが、そのような紙切れが人の心を動かしてくれるのだったら、これほどラクチンな事はありません。
生活習慣、社会的なマナーなどは親から子へ、保育者から子ども達へ何度も何度も伝えていき、やっとわかってもらえ、それから、子ども同士の伝え合いが縦(異年齢)と横(同年齢)に広がっていくものだと思います。
 レディ用のトイレなどに(○○は紙にくるんで捨てましょう)などと書いてありますが、この様な事は母親又はそれに代わる人が口伝えで伝える事のように思います。
見ず知らずの人の書いた貼り紙にハッと気づくというのでは、その人の人間関係はちょっとお粗末なのではないでしょうか。
 保育者が子ども達に何かを伝えていきたい時、更に、もっと大きく捉えて社会的により良い習慣がどんどん伝わっていって欲しい時には、生きた言葉を交わしてお互いの気持ちを伝え合っていくことが大切だと思います。
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